コンクリート診断士とはどのような資格か、合格率や難易度は?
コンクリート診断士は公益社団法人日本コンクリート工学会が実施する民間資格であり、名称独占資格です。コンクリートは劣化により倒壊などが起こりインフラが利用できなくなったり、最悪人命に影響します。コンクリート診断士はコンクリート等によって建設されているインフラが劣化しているか否かを診断します。倒壊等による影響は広く及ぶため、コンクリート診断士の仕事は重要であると言えます。
コンクリート診断士試験の合格率は例年15%前後と低水準で推移しています。後述しますが受験資格のハードルも高い中での合格率のため、難関試験の部類に入ります。受験に臨む方はしっかりと対策をして挑戦をしましょう。
また資格試験に合格した後、登録する必要があります。有効期間は合格した年度の翌年度から4年間です。4年ごとに更新が必要であり、研修を受講する必要があります。
コンクリートの老朽化を診断、対策するコンクリート診断士
高度経済成長期以降、日本では様々なインフラが多く整備されてきました。例えば道路や橋、トンネル、下水道、港湾などがあります。これらの建設にはコンクリートが使われています。コンクリートが使われているインフラの数は非常に膨大です。その中には古くなっているものもたくさんあり、それらの中には劣化が進んでいるものも含まれています。劣化したコンクリート構造物は崩落する危険性があり、修繕するのに時間がかかります。最も恐ろしいのは人命に影響が及ぶ場合があることです。コンクリート診断士は劣化を調査・診断し、対策を講じます。
コンクリート診断士の仕事の流れは次の通りです。初めに調査・測定を行います。圧縮強度実験や鉄筋腐食の調査、アルカリ骨材反応調査などです。次に診断を行い、劣化予測を行います。最後に対策を検討し講じます。このような流れで崩落などが発生する前に事前に対策をしているのです。
コンクリート診断士はコンクリート診断や調査を行っている企業、セメントや工業製品を製造している企業などで働くケースが多いです。
コンクリート診断士の受験資格
コンクリート診断士には受験資格があります。また特定の資格を保有しているか、学歴及び実務経験が必要となります。学校を卒業するだけで受験することはできないのです。それぞれ下記の通りです。
(特定の資格を保有することによる受験資格)
- コンクリート主任技士
- コンクリート技士
- 一級建築士
- 技術士(建設部門)
- 技術士(農業部門・農業農村工学)
- (特別上級・上級・1級)土木技術者
- RCCM(シビルコンサルティングマネージャ)鋼構造及びコンクリート
- プレストレストコンクリート工学会認定 コンクリート構造診断士
- 1級土木施工管理技士又は1級建築施工管理技士
コンクリート診断士よりも上位や難関とされる資格も含まれます。受験を決める前に保有している資格を確認しましょう。
(学歴及び実務経験による受験資格)
- 大学又は高等専門学校(専攻科)をコンクリート技術に関する科目(※)を履修して卒業し、コンクリート技術関係の実務経験が4年以上ある者(大学院へ進学しコンクリートに関する研究を行った場合、その期間を実務経験の期間に含めることができます)
- 短期大学又は高等専門学校をコンクリート技術に関する科目を履修して卒業し、コンクリート技術関係の実務経験が6年以上ある者
- 高等学校をコンクリート技術に関する科目を履修して卒業し、コンクリート技術関係の実務経験が8年以上ある者
※科目はコンクリート工学、土木材料学、建築材料学、土木構造学、建築構造学、セメント化学、無機材料工学等ですが、学校により科目名が異なることがあります。履修証明書等を元に受験の可否が判断されます。
コンクリート診断士試験についてを語ります
コンクリート診断士試験は3時間と長丁場の試験になります。四肢択一式の問題が40問、1000字程度の記述式の問題が出題されます。記述式は2題の内、1題を選択します。内容はそれぞれ建築系及び土木系となっています。
試験項目は下記の通りです。
(試験項目)
- 変状の種類と原因
- 劣化の機構
- 調査方法
- 劣化の予測・評価および判定基準
- 対策の種類、補修・補強工法
- 建築物あるいは土木構造物の診断の考え方・調査項目
- 技術及び基準類の変遷
合格点は択一式試験は60%~70%程度です。記述式の割合も大きいとされているため記述式の勉強を避けることはできません。
記述式問題はある程度の文章を書くことに対する慣れが必要となります。事前に試験対策をしっかり行い本番に臨めるようにしましょう。