通信資格の最難関、総合無線通信士とは
通信に関する資格はアマチュア無線技士、陸上無線技術士、海上無線通信士など様々な資格があります。総合無線通信士はその中でも幅広い無線設備を通信操作することができます。
中でも第一級総合無線通信士(一総通)は第一級陸上無線技術士(一陸技)と合わせて無線資格の最高峰です。無線通信士の資格を取得すると無線設備の通信操作、無線技術士の資格を取得すると無線設備の技術操作が可能となります。一総通の資格と一陸技の資格の両方があれば、国内で無線設備のあらゆる操作が可能となります。
各級ごとに行える業務は下記の通りです。
(取扱うことができる業務)
- 第一級総合無線通信士(一総通)・・・船舶局、航空機局、陸上に開設する全ての無線局の無線設備の操作(陸上に開設する無線局の技術操作については制限あり)
- 第二級総合無線通信士(二総通)・・・船舶局、航空機局、陸上に開設する全ての無線局の無線設備の操作(制限あり、陸上に開設する無線局の技術操作には制限あり)
- 第三級総合無線通信士(三総通)・・・漁船の船舶局等の無線設備の操作(制限あり)
無線従事者資格は受験資格はありません。しかしこの資格は無線の最高峰の資格だけあって極めて難しいです。参考までに令和3年度合格率は下記の通りです。
- 一総通・・・4.8%
- 二総通・・・1.1%
- 三総通・・・1.5%
年度によりますが、合格率が1%未満となることもあります。通信技術や周辺知識に深い関心があり、真剣に勉強をしないと合格することは極めて厳しいでしょう。
難関な資格だけあって合格することで様々な仕事に就くチャンスが広がります。海運企業で船舶の無線通信業務に就いたり、無線機器の検査や保守点検を行う仕事に就いたりと仕事は様々です。通信が好きな方にとっては天職であるといえるでしょう。
ポイント
- 総合無線通信士は幅広い通信操作ができる
- 一総通から三総通、どれも難易度は非常に高い
- 資格の難易度が高いだけあって、仕事のチャンスが広がる
学習内容が大変、総合無線通信士の試験について
総合無線通信士の試験は上記で述べた通り1~3級ともに受験資格はありません。しかし難易度は全ての資格の中でも難しい部類の資格に当たります。
科目は下記の通りとなっています。
(一総通・二総通)
<筆記試験>
- 無線工学の基礎
- 無線工学A
- 無線工学B
- 法規
- 英語
<実技試験>
- 電気通信術(一総通は電信、電話、印刷電信、二総通は電信、電話)
(三総通)
<筆記試験>
- 無線工学の基礎
- 無線工学
- 法規
- 英語
<実技試験>
- 電気通信術(電信)
無線工学基礎では主に電気物理学、電気回路、電子回路等を学習します。工業高校や大学で電子工学科を専攻している方にとっては有利な科目です。
無線工学Aは無線設備とその測定機器の理論、構造及び機能等を学習します。
無線工学Bは空中線系及び空中線系等とそれらの測定機器の理論、構造及び横能等を学習します。
法規は電波法及びこれに基づく命令、航空法及び電気通信事業法並びにこれらに基づく命令、国際電気通信条約、同条約附属無線通信規則、同条約附属電気通信規則などさまざまな法律等を学習します。
地理は航路、航空路及び電気通信路を主とする世界地理を学習します。
英語は和文英訳、英文和訳、英会話を学習します。
これらは筆記対策を必死にすれば合格圏には達することはできるでしょう。問題は実技です。一総通から三総通まですべてモールス電信の試験があります。これがこなせないとまず試験に挑戦しても合格することは不可能です。相当な訓練をする必要があるでしょう。
二総通の試験では、電話の無線操作の試験が追加されます。更に一総通の試験では直接印刷電信の無線操作の試験が追加されます。一総通まで取得することができればまさに無線のスペシャリストであると言えるでしょう。
総合無線通信士を取得するメリット
総合無線通信士を取得するメリットで一番有名なのが、一総通の資格を取得して実務経験を3年間積むと中学校教諭2種(職業)、高等学校教諭1種(工業)を取得することができます。実際に中学校教諭2種(職業)を活かす機会はありません。
高校教師になれることは大きなメリットです。実務経験が必要なのは大変かもしれませんが、資格を活かし教師を目指してみるのもありかもしれません。
そもそもこの資格自体が色々活かせますので、取得できること自体がメリットと言えます。