労働衛生コンサルタントを取得するメリット
企業では労働衛生の取り組みが図られています。労働衛生の管理は下記の3つを指します。
- 作業環境管理
- 作業管理
- 健康管理
「作業環境管理」は、職場を良好な労働環境に保つことを言います。労働者に悪影響を及ぼす要因が無いかを把握し、適正かつ安全に仕事ができる作業場の整備を行います。
「作業管理」は、作業時間、作業方法、作業量などを適正化して、労働者の負担を軽減することを言います。VDT作業やチェーンソー作業などをする際に時間制限を設けたりすることが、作業管理に当てはまります。
「健康管理」は、健康診断を実施することです。従業員の健康診断は企業の義務であり、たとえ従業員1人でも実施しなければなりません。
これらの取り組みは、近年様々な企業で重要視されています。働きやすい会社をつくることは従業員のモチベーションアップとなり、業績向上にも繋がるでしょう。
労働衛生に加えて、近年では「健康経営」の取り組みを行っている企業が増加しています。健康経営とは従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することをいいます。
労働衛生の改善の余地は限りなくあるため、労働衛生コンサルタントの資格はおすすめであると言えます。労働衛生コンサルタントの仕事の需要は多くあり、資格を取得することで収入アップが見込めます。
健康経営の導入などにより、労働衛生コンサルタントの仕事の領域は広がっています。さらに資格の価値は上がっていくことが予想され、取得しておくことはメリットが大きいです。
ポイント
- 労働衛生の管理は「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」を指します
- 健康経営を取り組んでいる企業が増えている
- 労働衛生コンサルタントの仕事の幅は広がっており、資格の価値は大きい

労働衛生コンサルタントの仕事について
労働衛生コンサルタントの業務内容
労働衛生コンサルタントの業務内容は多岐に渡ります。下記にあるものは一部となります。
(労働衛生コンサルタントの業務内容)
- 労働衛生状況の把握
- 労働環境改善のための計画策定
- 事業所責任者への指導
- 労働環境の最適化
- 労働安全衛生マネジメントシステムの監査・評価
- 外部委託の衛生管理者
「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」の状態の把握や、労働環境改善、労働環境の最適化など労働衛生への取り組みが基本的な仕事です。また、事業所責任者へ指導を行います。
労働安全衛生マネジメントシステムの監査を行い、PDCAが回っていることをチェックする仕事もあります。
衛生管理者との違い
労働衛生コンサルタントと衛生管理者には大きな違いが2つあります。
1つ目は「選任に関する法的義務」についてです。衛生管理者は50人以上の事業場において選任する義務があります。一方、労働衛生コンサルタントの選任については、法的義務はありません。つまり選任は任意なのです。
2つ目は「兼任可否」についてです。衛生管理者は原則1つの事業場に専任です。衛生管理者を2人以上選出し、その中に労働衛生コンサルタントがいる場合、この労働衛生コンサルタントについては専属でなくても問題ありません。この場合、労働衛生コンサルタントは兼任が認められているのです。
産業医との違い
労働衛生コンサルタントと産業医には大きな違いが2つあります。
1つ目は「選任に関する法的義務」についてです。産業医は50人以上の事業場において選任する義務があります。労働衛生コンサルタントの選任については、法的義務はありません。
2つめは「業務内容」についてです。産業医は健康診断やストレスチェックなど、労働者の健康について管理・増進に関することを業務としています。また、超過勤務者や休職者に対して、産業医面談の希望があれば実施します。労働衛生コンサルタントの業務内容は上記で述べた通りです。

労働衛生コンサルタント試験について
労働衛生コンサルタントの受験資格について
労働衛生コンサルタント試験には受験資格があります。難関資格や実務経験が必要であり、資格取得するための1つの関門です。受験資格の一部を抜粋します下記の通りです。
(労働衛生コンサルタントの受験資格)
- 理科系の正規学科を修了し、大学卒業後5年以上衛生関係の実務に携わっている者
- 理科系の正規課程を修了し、短大もしくは高等専門学校卒業後7年以上衛生関連の実務に携わっている者
- 理科系の正規課程を修めて、高等学校卒業後10年以上衛生関連の実務に携わっている者
- 医師、歯科医師、薬剤師の国家試験合格者
- 衛生管理者として10年以上の実務経験がある者
労働衛生コンサルタントの取得するには数年~数十年の年数が必要です。労働環境改善の仕事に興味があれば取得する価値はあります。
難関な労働衛生コンサルタント試験について
労働衛生コンサルタント試験は難関な試験です。筆記試験と口述試験があり、筆記試験の合格率は20~40%前後、口述試験の合格率は50~60%前後です。合格率だけみるとそれほど難しくないと感じるかもしれませんが、受験資格がハードな中での合格率ですので、難関資格と言えます。
試験科目は下記のとおりとなります。
(筆記試験)
- 労働衛生一般(択一式)
- 労働衛生関係法令(択一式)
- 労働衛生工学又は健康管理(記述式)
合格基準はおおむね60%以上で合格、ただし1科目につき40%未満の科目があると不合格となります。苦手科目を作らないようにすることが大切です。
(口述試験)
- 筆記試験の内容を口述試験で実施される
4段階評価の上位2ランクで最終合格となります。
筆記試験だけでなく口述試験もあり、難関試験であることは間違いありません。口述試験も半分近くの方は不合格となっているので対策が必要となるでしょう。挑戦する方は頑張ってください。

まとめ
労働衛生コンサルタントの資格を取得することに大きなメリットがあることは間違いありません。今後仕事の需要が増えていくであろうからです。受験資格がある方は、取得してみることをぜひおすすめします。
資格試験は難関です。難関資格にある口述試験があり、口述試験の不合格者も半数近くいるため油断できない試験です。もし目指すのであれば真剣に勉強しましょう。
労働衛生コンサルタントの業務は多岐に渡ります。仕事内容は多くこなすのは大変な所もありますが、事業場の方々に貢献できるやりがいのある仕事です。大変おすすめできる仕事です。