業務管理者の要件である資格、賃貸不動産経営管理士とは
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)に基づいた国家資格であり、「業務管理者」の要件となる資格の一つです。
賃貸住宅管理業を営む業者は事業所ごとに1名以上の業務管理者の配置が義務付けられています。業務管理者は賃貸住宅の維持管理を行う事が業務となっています。貸主との管理契約の内容を明確にし、賃貸住宅の維持保全や入居者の居住の安定などを行うに当たって、管理監督の立場を担います。
業務管理者になるためには以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
(業務管理者となるための要件)
・管理業務について2年以上の実務経験があり、賃貸不動産経営管理士試験に合格して登録している者
・管理業務について2年以上の実務経験がある宅地建物取引士であり、国土交通大臣が指定する講習を修了している者
※実務経験は「賃貸住宅管理業務に関する実務講習」の修了をもって代替することが可能
管理業務の実務経験がある宅建士は賃貸不動産経営管理士の試験を受験しなくても業務管理者になることができるのです。
賃貸不動産経営管理士の国家資格化についての背景
近年、都市部を中心に賃貸志向が高まりを見せています。持ち家住宅率が減少する一方で賃貸の需要が高まりを見せているのです。そのため賃貸住宅の役割がこれまでよりも大きくなっています。賃貸管理の適正化が求められている要因の一つになっています。
またサブリース契約による賃貸経営のトラブルが大きな社会問題となりました。銀行と不動産会社が結託し、不正な融資をしてオーナーとなる顧客に損失を与えたという事件がありました。最終的にこの事件は民事調停により融資した分が帳消しとなりました。
投資用ワンルームマンションの購入の際に、貸主が何も条件を知らずにサブリース契約をしては、家賃保証プランがある契約を選択することにより安定収入が得られる、賃貸管理の手間が省けるなどがあげられます。デメリットは、入居率が下がるなどにより家賃の減額を求められる、解約が困難、手数料が高いなどがあげられます。
賃貸需要の高まりや賃貸経営のトラブルの増加などの要因を背景に賃貸住宅管理業法が施行され、これに基づき賃貸不動産経営管理士が国家資格となりました。
オーナーと入居者へサービス提供、賃貸不動産経営管理士の業務
「業務管理者」としての職務は、賃貸住宅管理業法施行規則第13条により、以下の職務の管理監督を行わなければならないことが定められています。但し賃貸管理業者の業務はこれ以外にも多岐に渡ります。
(業務管理者の職務)
・重要事項説明及び書面の交付
・管理受託契約書の交付
・賃貸住宅の維持保全及び家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理
・帳簿の備付け等
・オーナーへの定期報告
・借主からのクレームの処理
・その他国土交通大臣が定める事項
また賃貸管理業者は、サブリース契約を行う際の貸主へ重要事項の説明を行います。賃貸住宅管理業法の施行前はオーナーとサブリース業者間で契約を締結する前に重要事項の説明は必要がありませんでした。法律の施行により、サブリース業者は重要事項の説明が義務付けられています
他に建物修繕計画の提案や入居者が解約する際の立会いも行います。このように賃貸管理業者の業務は多岐に渡るのです。
賃貸不動産経営管理士試験について
賃貸不動産経営管理士試験は受験資格がなく誰でも受験できます。試験時間は120分、四肢択一形式であり50問です。
賃貸不動産経営管理士講習を修了した者は5問免除されます。この講習はだれでも受講することができます。
試験範囲は下記の通りです。
(試験範囲)
・管理受託契約に関する事項
・管理業務として行う賃貸住宅の維持保全に関する事項
・家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
・賃貸住宅の賃貸借に関する事項
・上記の他、管理業務その他の賃貸住宅の管理の実務に関する事項